大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)994 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一点について。

所論は、原判決が、上告人のした「夫Dのした売買を承諾したことがない」旨の

主張に対して判断していないというのである。しかし、原判決は上告人が夫Dに本

件宅地の売却を委任した旨認定判示しているのであるから、所論の抗弁に対しては

これを排斥した趣旨であること判文上推認するに難くない。右所論は採用できない。

その余の所論はいずれも原審が適法に確定した事実を非難するに帰し、採用に値し

ない。

同第二点について。

所論は、原判決が「委任」「間接代理」の語を用いた点に弁論主義違背があると

いうが、所論の原審判示の趣旨は、上告人が本件土地売却を夫Dに委任するに際し、

登記簿上の名義が夫にあるため、夫名義での売却を許したというにあり、「間接代

理」という表現はいささか妥当でないが、代理権の主張はあつたのであるから、右

認定には弁論主義違反はない。所論は採用できない。

同第三点について。

所論は、原審が上告人本人を取り調べなかつたことが違法であると主張するが、

その申請にかかる証人として上告人の夫Dが取り調べられており、唯一の証拠を調

べなかつたわけではないから、所論は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!